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なぜ【固定残業制度】は住宅不動産業に導入されるのか

スタッフコラム

AUG09, 2017 / Written by yuko

なぜ【固定残業制度】は住宅不動産業に導入されるのか
なぜ住宅不動産業では「固定残業制度」を導入するのか。それによって企業側が得られるメリットにはどのようなものがあるのか、前回に引き続き、社会保険労務士の方に聞いてきました。

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(左)SUMUS事務局代表 住宅企業コンサルタント:東郷博之
(右)社会保険労務士:松原清人

住宅コンサルタント 東郷博之(以下、住宅コンサル):早速質問させていただきます。住宅不動産業の多くの企業では、「固定残業制度」を取り入れていますが、それは何故でしょうか。

社会保険労務士 松原清人(以下、社労士):確かに多いかもしれませんね。一般的に「固定残業制度」を導入する大きな理由としては、「求人広告に出す際に待遇が良く見える為」だと言われています。当然、給与額が多ければ多いほど人は集まりやすいですからね。

住宅コンサル:住宅不動産業という職業に多い理由は?

社労士:社員の労働時間管理がしにくい業界であるためです。固定残業制度にすれば、労働時間の管理を最小限に抑えられ、結果として人件費の予算が立てやすくなりますよね。そのため、多くの住宅不動産業の企業が導入していると考えられます。

住宅コンサル:実際、固定残業制度にすれば企業側にはその他どんなメリットがあるのでしょうか。

社労士:企業側にとってのメリットは大きく4つあります。
1、金額面で優遇されているかのように見える
2、残業の単価が割安になる
3、給与計算が簡単になる
4、予算管理がしやすくなる


1つ目ですが、先ほど述べたように、求人広告に出す際に「金額面で優遇されているかのように見える」という点です。以下の表を見ていただければわかりやすいかと思います。

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このように、「基本給」と「基本給+残業代」の合計金額が同じ目線で比べられるため、見た目上は、固定残業制度の方が魅力的な給与体系に見えるという事になります。

住宅コンサル:確かに見た目上の金額面だけで見れば、「固定残業制度」を採用している企業の方が、魅力的に映りますね。こういった点も考えられているんですね……。次の「残業の単価が割安」とはどういう事でしょうか。

社労士:2つ目の「残業の単価が割安」ですが、基本的に残業は時給計算されるため、以下のようなケースで残業単価は安くなる傾向にあります。

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このように、基本給が高い企業は残業単価も高くなり、残業固定制度を導入している企業は残業単価も安くなるという事態が起こるのです。結果として、同じ残業時間の場合、固定残業制度を導入している企業の方が、支払額が少なくて済むという計算になるのです。

住宅コンサル:残業計算の仕組みをあまり深く考えない方もいると思うので、注意しなければいけない点ですね。

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社労士:3つ目は「給与計算が簡単になる」という点。これに関しては非常にシンプルで、既定残業時間以内であれば残業計算は不要になりますよね。そのため、残業計算にかかる工数が削減できます。

住宅コンサル:ただ、これは既定の残業以内だった場合というお話ですよね? それ以上の残業が発生したら、計算は必要になる……という認識で間違いないでしょうか。

社労士:はい、その通りです。当然、既定残業時間を超えた場合には追加残業の計算をし、支払う必要があります。ただ、基本的には既定残業時間以内で収まるような働き方・体系にしている企業が多い、という事も覚えておくと良いかもしれません。

社労士:最後になりますが、「予算管理がしやすくなる」というメリットです。これは、毎月一定の残業時間の見込みがあるので、それ以上の残業時間・費用はそこまで大きく肥大することは無いという考えです。この点に関しては、予算管理のリスク対策を考える上で、企業にとって大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

住宅コンサル:確かにこれだけ多くのメリットがあれば、企業も「固定残業制度」を導入するというのにも納得できますね。

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